まずは中学生の勉強にたいするやる気を引き出すための基本をお伝えします。
基本はあくまでも基本であって、知ったからと言って使えるわけではありませんが、重要なことは基本を知らないと知らず知らずのうちに間違った方法でやる気にさせようとしてしまいかねないということです。
その点を注意して頂くためにもお子様が中学生の方だけでなく、お子様がいらっしゃる方々すべてに知って頂きたいと思います。
やる気を引き出す方法は大きく分けて2つ
中学生の勉強に限らず、人をやる気にさせることにも留まらず、とにかく人を何らかの意味でその気にさせる方法は、ざっくりと言ってしまえば2種類しかありません。
- 夢を与えるか
- 恐怖を与えるか
この2つです。
勉強でたとえてみれば、「勉強したら、こんな良いことがあるよ」と伝えるのは(これだけではありませんが)、夢を与えているわけですね。
逆に「勉強しなかったら高校へ行けないよ」とか「もっと頑張らないと・・・・・・」という類のものは恐怖を与えているわけです。
恐怖を与えてはいけない!?
もちろんケースバイケースではありますが、基本的にはやる気にさせるために恐怖を与えてはいけません。
もしかして、お子様をやる気にさせるために「勉強しないと・・・・・・」と恐怖を与えていませんか?
それは逆効果になりかねませんよ。
恐怖を与えてやる気にさせてはいけない理由はいろいろあるのですが、わかりやすいものを2つお伝えしておきましょう。
まず、冒頭でもお伝えした通り、中学生の勉強にたいしてのやる気だけではないわけですから、わかりやすい例で言えば、異性に自分を好きになってもらう場合を考えてみて下さい。
あなたなら、好きな異性がいた場合、どのようにしてアピールしますか?
優しくしたり、親切にする
自分をかっこよく(可愛く、あるいは綺麗に)見えるように努力する
他に何があるでしょうね。
もちろん、それだけではなく、恋愛の場合はいろいろなテクニックや手順がありますが、それはやる気を引き出す場合も同じです。
しかし、上記のようなもの、あるいはあなたが今頭に思い描いたものは全てある意味「夢を与えるもの」ではないでしょうか。
言葉を変えれば、プラスの感情を生むものですよね。
間違っても恋愛で、自分と付き合わなかったらどんなに損をするかをアピールする人はあまりいないと思います。
男性にありがちな学歴自慢や財力自慢、つまり自分の自慢話ほど冷める話題はないのではないでしょうか。
これこそが、恋愛における「恐怖をあたえるもの」にあたるわけです。
これはマイナスの感情を生むことのほうが圧倒的に多くないですか?
中学生も同じです。
親から「勉強しないと」と恐怖ばかり与えられても、嫌われるのがオチです。
ママうるさい!
おやじうぜえ!
のようになりかねません。
もちろん子供に嫌われても親として正しいことはすべきですが、勉強にたいしてのやる気に関して言えばマイナスにしかならないことのほうが多いですね。
要するに、恐怖を与えてやる気にさせるのは扱いが特に難しいのです。
場合によっては恐怖も必要ですが(体罰とか言葉通りの恐怖ではありません)、細心の注意と勝算なしに恐怖を使ってもマイナスになってしまいます。
脳科学の見地から考慮してみる
脳科学の見地からも、恐怖を与えてやる気にさせることは難しいことがわかります。
勉強は覚えるのが苦手なのに、好きなことは意外と簡単に覚えてしまう子供たちが結構いることはわかりますね。
これはなぜでしょうか。
人間の脳は複雑に見えて非常に単純な部分もあります。
コンピューターが複雑なことができるにも関わらず、その元となるのは二進法で0と1の判別をしているだけに過ぎないのと同様に、人間の脳もそのくらいに単純な側面もあるのです。
中学生に限らず人は何か物事を見聞きした際に、最初に判断するのは、それが「好き」か「嫌い」かのいずれかです。
意識的に判断するのではなく(だからこそ困るのですが)、脳の記憶にかかわる部分である海馬(かいば)が瞬時に無意識下でどちらかを判断すると思って下さい。
そして海馬が好きと判断すれば、記憶しておくほうへとその物事は分類されます。
脳の視床下部からは好きと判断されれば脳内ホルモンとか脳内麻薬とも呼ばれる物質が分泌されますので、快感となり、それが楽しさや喜びとなるわけです。
その結果として記憶に定着し、覚えてしまうというメカニズムですね。
ここまで言えば、恐怖を与えることの弊害はおわかりですね。
恐怖を与えてやる気にさせることは、知らず知らずのうちに勉強を恐怖の対象としてしまい、勉強=嫌いと洗脳するのに等しいと言っても過言ではない状況になりかねないわけです。
当然、勉強ができるようにはなりにくくなるだけですね。
つまり、やる気にさせるつもりが、お子様を窮地に追い込み、勉強をより難解にしているだけという場合も往々にしてあるのです。
では「夢を与える」とは
ここまでの話で、やる気にさせるならば夢を与えるほうが良いということはご理解頂けたと思います。
では、肝心の「夢を与える」とは具体的に何を伝えれば良いのでしょうか?
「勉強したらいい高校やいい大学へ行けるよ」
「勉強したら将来いい会社に就職できるよ」
ということでしょうか。
まあ、恐怖を与えるよりは良いとは思いますが、それでやる気になればいいのですけどね。
なかなか難しくないですか?
かと言って、
「今度のテストで100点を取ったら、〇〇を買ってあげる」
のような短絡的な餌のような夢も良くありませんね。
では、どうするのか。
それは追々詳しく話をしていきますが、あなたが中学生のお子様をお持ちの親御さんなのでしたら、まずはあなたの言動が子供にとっての夢になるようにしてあげることが、やる気にさせる第一歩だと思います。
言葉を変えれば「褒めて伸ばせ」です。
どんな小さなことでも構いません。
仮にテストなどの結果が悪くても構いませんので、何か良かったことを見つけて褒めてあげるのもひとつの方法です。
すると、子供にとってはダイレクトに夢を与えられるわけではありませんが、あなたの言動それ自体が子供の目指す夢になるわけです。
次回も褒めてもらいたいから、認めてもらいたいから頑張る! のようなイメージですね。
あなたご自身の親としてのキャラ上、急変するのも不自然ですし、この方法は即効性がないためまどろっこしいかと思いますが(特にお子様が中学3年生の場合)、まずはここから始めてみて下さい。
他人の話には耳を傾けても、親の言葉には耳を傾けない中学生も多いです。
今回お伝えした夢を与える方法は、あなたの言葉、つまり親の言葉でも耳を傾けてもらうための姿勢作りという意味もありますから、急がば回れと思って心がけてみて下さい。
間違っても、特に親の場合は恐怖を与える方法は取らないほうが良いということは覚えておいて下さい。
今までに知らず知らずのうちに恐怖を与えていたとしたら今後は与えないようにして下さい。
それだけでも、ずいぶんと変わりますよ。